尿路に炎症が起こる尿路感染症。排尿の際に不快感があるのが特徴で、尿路感染症は尿道が短いのが原因で、男性よりも女性の患者様が多い病気です。放置すると再発を繰り返し、治りにくくなることもあるため、早めの受診と徹底した原因治療が必要になります。

目次

尿路感染症とは
尿路感染症の症状
尿路感染症の原因
尿路感染症が原因の腎盂腎炎
尿路感染症が原因の膀胱炎
尿路感染症が原因の尿道炎

尿路感染症とは

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尿路感染症はおしっこの出口(尿道口)から細菌が膀胱内に進入することで生じます。したがって男の子に比べて尿道の短い女の子に尿路感染症は起きやすいと言えます。ただし2才までは男女の頻度に大きな差がありません。膀胱の中で感染がとどまっているものは膀胱炎と呼ばれ、尿路感染症で細菌が膀胱からさらに腎臓まで進入すると腎盂腎炎を起こします。

文字通り、尿の通る経路で起こるのが尿路感染症す。尿は腎臓で産生され、腎臓の腎盂(じんう)という腎臓からの尿を集める場所、尿管を通って、膀胱で一度溜められます。一定の量が溜まると、尿道を通って外に流れるわけです。

男性の場合は、尿道に前立腺などの生殖器があります。腎臓は血液をろ過することで、血液から老廃物、余分な水、イオンを除き、尿として体の外に出そうとします。腎臓で作られた尿は、基本的は無菌です。しかし、尿には細菌やウイルスが増えるための細胞や栄養が含まれているために、増殖しやすいのです。また、血液から細菌やウイルスが尿の中に侵入し、増殖します。

尿路感染症は重症度や症状の違いなどから、「上部尿路感染症」と「下部尿路感染症」に分類されています。


■上部尿路感染症

この尿路感染症は主に、腎臓から尿管までの感染です。病名としては、「急性腎盂腎炎」、「急性巣状細菌性腎炎」があり、主に腎臓に細菌が感染することで、発熱などの症状が出ます。

■下部尿路感染症

この尿路感染症主に、膀胱から尿道、前立腺などの感染です。病名では、「膀胱炎」、「尿道炎」、「前立腺炎」があります。


尿路感染症の症状
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上部尿路感染症

この尿路感染症の症状は
○38℃以上の高熱が出たり、その高熱が続く
○腰痛、背部痛で左右の腰のあたりを叩くと鈍い痛みがある
○吐き気や嘔吐、体重が増えない、食欲がないなどの症状が出る。特に小さな子どもに症状がみられる
○尿が濁っている など


特に子どもの場合は、1週間ごとに咳・鼻水もなく、高熱だけを繰り返す場合は、上部尿路感染症の可能性があります。1歳までの子どもは、尿が膀胱から腎臓へ逆流するために、たまたま膀胱に入った細菌が腎臓に入りやすいので、大人より上部尿路感染症を起こしやすいと言えます。

下部尿路感染症

この尿路感染症の症状は
○尿を出す時の痛む排尿痛
○何度ものトイレに行く頻尿や残尿感、夜尿(おねしょ)
○尿が赤い血尿
○尿が濁っている
○尿検査で判明する蛋白尿
○37℃前後の微熱 など

尿路感染症の原因

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尿路感染症の多くは、尿道口から侵入した細菌が尿路をさかのぼって感染、炎症を起こす「上行性感染」が原因によるものです。とくに女性は尿道が短いため、尿路感染症にかかりやすいといわれています。
 主な尿路感染症が原因の疾患には「腎盂腎炎(じんうじんえん)」、「膀胱炎」、「尿道炎」があります。

尿路感染症が原因の腎盂腎炎
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腎盂腎炎は、腎盂および腎臓に細菌が感染して、炎症が起こる病気です。急性と慢性があり、さらに急性は単純性と複雑性にわけられます。

<急性腎盂腎炎>

単純性腎盂腎炎の多くは、尿が膀胱から、尿管へと逆流する「膀胱尿管逆流」現象が原因によって引き起こされる尿路感染症の上行性感染が原因であると考えられています。
 複雑性腎盂腎炎は、何らかの病気、例えば「尿管結石」などで、尿の流れが滞った場所に細菌が感染して、腎盂ないし腎臓に炎症が及ぶものです。


症状・・・悪寒や震えを伴なう38度以上の高熱がでます。熱は上がり下がりが激しいのが特徴です。腰が鈍く痛んだり、または、たたくと痛みがあります。尿に膿が混じり、にごりがみられます。
治療・・・このような症状がでた場合は、すぐに病医院を受診しましょう。症状によっては入院となることもあります。感染した原因の細菌にあう抗菌薬を服用し、安静にします。

<慢性腎孟腎炎>

何らかの病気が原因によって、慢性的に腎盂腎炎を起こしやすい原因になっている場合があります。腎盂腎炎を起こしやすい病気として、糖尿病や高血圧、痛風などが原因にあります。


症状・・・活動期の症状は、急性腎盂腎炎とほぼ同じです。非活動期の症状は、全身のだるさや、微熱、残尿感などがあります。
治療・・・慢性腎盂腎炎を引き起こす原因となっている疾患の治療が必要となります。

尿路感染症が原因の膀胱炎
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膀胱には細菌に対する免疫力があるため、健康な状態であれば、感染することはありません。
 しかし、疲労やかぜ、ストレス、月経、身体の冷えなどが原因により、免疫力が低下すると、膀胱の粘膜に細菌が感染し、膀胱炎を起こすことが原因です。また、排尿を長期間我慢したときなども膀胱炎になることが原因あります。女性に多い病気です。
 膀胱炎には、急性膀胱炎と、慢性膀胱炎があります。

<急性膀胱炎>

症状・・・排尿が原因の痛み、頻尿、残尿感があります。また、尿に膿が混じってにごったり、血尿がみられることもあります。
治療・・・原因の菌に作用する抗菌薬を用います。また、細菌を洗い流す目的で、水分を多めに摂取します。

<慢性膀胱炎>

慢性的に膀胱炎を引き起こす原因疾患があることが考えられます。
症状・・・軽いか、自覚症状に乏しい場合があります。
治療・・・膀胱炎の治療とともに、原因となっている疾患の治療を行ないます。


尿路感染症が原因の尿道炎

尿道炎は、尿道に細菌が感染して、炎症を起こすことが原因です。感染の多くは性行為によるもの(性行為感染症)が原因とされています。急性と慢性があり、また、淋菌が原因になって起こる淋菌性尿道炎と、その他の細菌が原因となる非淋菌性尿道炎にわけられます。
 女性では尿道膀胱炎、男性では前立腺炎を合併することがあるため、尿道炎の症状があったら、早めに受診することが必要です。

<淋菌性尿道炎>

症状・・・急性の場合、尿道に灼熱感があり、尿道口から膿がでることがあります。また、尿意を感じやすくなります。慢性では自覚症状に乏しい場合があります。気づかずに放置すると、尿道狭窄(きょうさく)(尿道が狭くなる)を起こす恐れもあります。
治療・・・薬物療法が中心となり、原因になっている菌の抗菌薬を一定期間用います。パートナーとともに治療を行います。不潔なことも原因になるので日頃から外陰部の清潔を心がけることが必要です。

<非淋菌性尿道炎>

症状・・・尿に膿が混じったり、尿道や会陰部の不快感などがあります。
治療・・・原因となっている細菌を特定し、抗菌薬を一定期間用います。